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ホンダ・ビートの存在意義とは?

 

 

 
 
ホンダ・ビートって、その存在だけでもウキウキしますよね。 

たとえ、幌を閉めた状態でも、黒いトップが「いかにもそこが開きます!」っていう感じがして、なんだか嬉しくなってしまいます。それって、私だけでしょうか? 

ビートの主な特徴は、「オープン・カー」「ミッドシップ」「軽自動車」だと思います。ちょっと欲張りなパッケージングですが、「オール・イン・ワン」を求めがちな日本人の購買欲をうまく刺激した商品だと思います。 

「オープン・カー」「ミッドシップ」といった非日常の中に、「軽自動車」という経済性がプラスされているのには脱帽してしまいます。 
現在、車は「生活必需品」です。つまり、ほとんどの家庭に、家族全員で移動できる性能を持った車があるはずです。4人家族なのに車は2人乗、という家庭はほとんど無いはずです。 

しかし、本来の車とは「嗜好品」なのです。車の好きな人は、生活必需品としての車では物足りなく感じている場合が多く、「速さ」とか「格好」といったそれを1台の車に求めがちです。
「280馬力もあるクーペの格好をした4ドア」等という節操の無いパッケージングの車が多いのはそうした背景からだと思っています(もっとも、それが良いと感じている人が多いのも事実です)。 

その中で、どうしても「生活必需品」としての車に、パッケージできない(できにくい)要素が「オープン・カー」と「ミッドシップ」です。
この二つを求めようとした場合、別にもう1台の車を所有する必要があります。
車を維持するとい事を考えれば、「軽自動車」という経済性は大きな武器になります。 
 


 
ビートを所有する意味とは何でしょう? やはり、 

「オープン・エア・モータリングを楽しみたいから」 
「しかも、経済的に……」 

ですね。「ミッドシップ・カー」としてのビートは中途半端な味付ですから、これを理由に上げる人は少ないと思います。 

しかし、たかが屋根が開くだけで、そんなに偉いんでしょうか? 
「そうです! 偉いんです!」 
人が車で移動する際に、移動する事の臨場感(たとえば風)を感じたいと思う人は多いはずです。今の日本で、純粋にそれを感じる事ができる原動機付の移動装置はオープン・カーだけです。オートバイはヘルメットのおかげでそれを充分に感じれなくなりました。 

「それで?」 
と、ツッコミが入りそうですが、それを言われては、嗜好品としてのそれを愛する人の立つ瀬がありません。あくまでも嗜好の話なんですから、そう問うのは反則です…… 
 


 
ホンダ・ビートという車は、その嗜好を正当に具体化した車です。 

オープン・カーは『ジャガー・Eタイプ』や『メルセデス・ベンツSL』がそうだった様に、ずっと昔から2人乗なのです。 
だから、2人しか乗れなくて良いのです。そういう物なのです。 

ミッドシップにな(ってしま)ったのは、絶対にFRは作らない(?)というホンダとしての意地ですかね? これなら大義名分はたちます。ですからビートは、コーナリング・マシンとしてのミッドシップ・カーでは無く、「何となくこうなってしまいました……」みたいなノリのミッドシップです。 
現に、ビートのハンドリングはミッドシップとは思えないぐらい緩慢なセッティングです。 

エンジンをターボにしなかったのは、「ホンダがターボの軽自動車エンジンを持っていなかった」というのが実情だったのでしょうが、結果的に正解です。 
オープン・カーで速く走る必要は一切ありません。速く走りたい人は、オートザム・AZ−1を別途購入すべきです。 
あ! そういえば、速いオープンカーがありましたね…… スズキ・カプチーノです。ただ、「オープン・カー」と「高出力エンジン」がパッケージングされる事の意味が、私には理解できないので、気がつかなかった事にしましょう…… 

ビートはエンジンに力が無い分、ギア比を低めに設定し、エンジンが軽快に回る様、考慮されています。660ccですから絶対的なパワー不足は補えませんが、車として走る分には充分に許せる範囲です。 
「高回転を維持しながら車を走らせる」そんな操る楽しみがビートのエンジンにはあります。 
 


 
最後にキャンバストップの折りたたみ式屋根です。 
オープン・カーはこれでなければいけません。開け閉めが簡単で力も要りません。 

一方、カプチーノはハードトップの一部取り外し式です。タルガ・トップを楽しめるというメリットはありますが、所詮、タルガはタルガで純粋なオープン・エアでは無く、サンルーフの延長でしかありません。 
第一、あの重いトップを持ち上げる(外す)事を考えると嫌になってしまします。 
これは、ビートをオープンで走らせる人は多いのですが、カプチーノをオープンで走らせる人は極端に少ない(私は一度も見た事が無い)事を見ても分かると思います。 
カプチーノは「オープン・カー」という要素がパッケージングされてはいますが、その要素よりも、「FRレイアウト」「高出力エンジン」といった「走り」の要素を支持する人が多いと言えるのではないでしょうか。 

そのキャンバス・トップですが、雨の日等には雨漏りしがちです。でも、それが良いのです。 
冬の日、オープンで走れば寒いです。でも、それが良いのです。 
夏の日、オープンで走れば火傷する程、日焼けします。でも、それが良いのです。 
嗜好品としての車なのですから、少しぐらい不具合のある(快適でない)方がかえって良いのです。 

たまの休みに現実から抜け出して、暖かくなれば喜び、寒くなれば憂鬱になる。四季を感じ、常に日焼けする、そんな非日常を楽しみ、克服する喜びを送りたい人達の為に、ホンダ・ビートはあるのです。 
オープン・カーには、ある程度、歳をとった人が似合います。スダレ頭でオープン・カーなんて、その人の尖がった(頑固な)性格が垣間見れて、結構、好きですし、そんなオジサンでありたいと私も思っています。 

う〜ん、なんだかありがちなオチになってしまった。イカンなぁ、こんなんじゃ…… 
 


 
 
 
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