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追悼…… さらば愛しの1号

 

 

 
 
 1号がお亡くなりになり、はやひと月の歳月が流れました。 
 2号のおかげで悲しみも幾分癒え、肩についたシートベルトのあざも薄らいできた今日この頃…… 平常の生活を取り戻しつつありますが、ふと1号の事を思うと、まだまだ心に残った罪悪感が込み上げてきます。 
 ゴメンナサイ、ゴメンナサイ、ゴメンナサイ、愛しの1号…… 君の事は一生わすれないよ、短い間だったけど、いい思い出をありがとう。 
 だから…… だから、成仏してね…… 化けてでないでね…… 

 
 それは年明けのとある深夜の出来事でした。 

 久しぶりに遠出した私は、ある国道を快調に飛ばしていました。ヘアピンが連続するその道は国道とは名ばかりで、車線も無い単なる山道です。もちろん道沿いに民家も無く、暗く冷たい夜の空気に1号のエンジン音だけが響いていました。 
 冬場独特の密度の高い空気は、1号のエンジンをいつもより快調に、そしてパワフルにまわしていたのを憶えています。 

 その夜は快調なエンジンにかなり気分よく運転していたと思います。決して無理な運転をしていた訳でなく、あくまでもマイペースに運転を楽しむレベルで走っていました。 
 きつい左ヘアピンをゆっくり曲がって、2速へシフトアップ、ハイビームのライトが先のコーナーのガードレールを照らしています。 
 その時は、ガードレールの曲率から、次のコーナーの曲率を判断していたと思います。 
「これくらいの曲率なら、このまま3速へシフトアップして行ける!」 
 と、判断したかどうかは定かではありませんが、とにかく、ギアは3速でした。 

 そして、そのガードレールの先には、コンクリートウォールがありました…… 

 普段から左足をブレーキにのせてコーナリングする癖が幸いして、すぐに減速を開始できました。 
 一瞬遅れてハンドルを切ります。 
 ミッドシップはフロントが軽い分、タイヤがグリップを失うまでは、車の向きがよく変わります。 
 思いの他、1号の向きが変わったので、 
「ラッキー!」 
 なんて一瞬思ったりもしましたが、タイヤがクリップを失うには十分なスピードとハンドル操作だった様で、そこから先は何をやってもダメで、フロントホイールをロックさせたまま、ヘアピン横のコンクリートウォールへ正面から突っ込みました。 

 ドン! という鈍い音…… 

 テールランプの光と、つけたおぼえの無い右ウィンカーの点滅が、白いガードレールの色を定期的に赤と黄色に変えていました。 

 それから2時間、後続車が来るのを、寒空の下で待ちました。 
 後にして思えば、不自然な位置にあったカーブミラーを疑うべきでした。しかしそれも後の祭りです。 

 あぁ、反省…… そして、1号に合掌…… (みなさん御一緒に……) 
 


 
 
 
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