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メルセデスが失ったもの(深刻編)
  
 

 
 

W126

実は、私のメルセデスに対する価値観は、20年前のW126で止まったままですから、それと現在とを比較する事には無理があるのかもしれません。

現行モデルは、すっかり電子制御化が進んで、過去の機械設計による工夫は殆ど形をひそめてしまった感もあります。
ここでは、私が「これだけは失って欲しくなかった」と感じる点を幾つか上げてみることにします。

 


W126 W169

本来、メルセデスの開発思想は「安全は全てに優先する」というものでした。

そのあらわれの一つに、段つきのランプがあります。
これは、泥道を走った場合、泥がランプに付着して見えなくなる事を嫌い、段をつけて表面積を増やして泥がつかない面を残そうとする発想でした。
リア・ランプを例に比較してみますが、W126は見事なまでの段々で、これならリア・ランプ全てを覆う様に泥はつきにくい感じがします。
一方、W169ですが、一応、段らしき物はついてはいますが、本来の機能を果たす事は無く、単なるデザインの域に留まっています。

 


W126のコーナーでも紹介していますが、メルセデスのワイパーは独創的な事で有名です。

W169で初めて雨に遭遇した時、私は思わず「これは本当にメルセデスか!?」と叫んでしまった程にガッカリしました。
Aピラーまわりの比較的広い面積の拭き残しについては、観音ワイパーで雪道を走る事を考えれば百歩譲って許せますが、左ハンドル仕様のままのワイパー配置にだけは怒りを禁じ得ません。


観音ワイパーはその動作上、互いのワイパーを干渉させない様、畳んだ状態で上側が(ブレードの長さが)大きく、下側が小さくなりがちで、且つ、動作も下側が上側に遅れて動作します。
その性格上、上側のワイパーがメインワイパーという事で、運転席側を拭くのが当然だと個人的には思っているのですが、悲しいかな、W169は左ハンドル仕様のままなのです。
ワイパーが畳む際に、メインワイパーが飛ばした飛沫が、丁度、ドライバーの視界上に飛ぶので、神経質な私は余計に許せません。

ATセレクタやウィンカーレバーが左ハンドル仕様のままでも笑って許せますが、こういった安全に対する対処が妥協されている最近のメルセデスは、本当に変わってしまったと感じるばかりです。


W126 W169

メルセデスのアクセルは重い事で有名です。

その方が長距離を運転する場合、ある程度の緊張感が生まれ動作が単調にならず事故に繋がり難いという思想から生まれたものでした。

そして、メルセデスは右足で運転する乗物だと言われる様に、右足のかかとを軸にしてアクセル操作で姿勢をコントロールする事を喜びとするユーザーも多くいます。
それに大きく貢献していたのが、オルガン式のアクセル・ペダルでした。これなくしてメルセデスはありえません。

しかし…… Aクラスは初代から吊り下げ式のペダルで、且つ、スカスカに軽いのです。

もうこれは、ダイムラー・クライスラーにお願いするしかないのですが、頼みますからW169のアクセル・ペダルをあのオルガン式に変更してください。


 
 
 
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