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メルセデス購入のススメ(心構え編)
 
 

 

 

 
 
メルセデス・ベンツという車を勘違いされている方がほとんどだと思います。 

一般のイメージとしては、(国産車より)「速い」「安全」「豪華」ぐらいではないでしょうか。 
大きな誤りです。 
速いのは、一部のフラッグシップ・モデルだけです。 
ダイアナ元妃の事故死で、安全神話も崩れました。 
全てにおいて機能第一主義の車が豪華な訳ありません。 

バブル全盛期に、そんなイメージを期待して、クラウンからメルセデスに乗り換えたバブリーオヤジ達も、今ではすっかり、セルシオあたりに落ち着いています。 
彼らは口をそろえてこう言います。 
「ベンツなんか大した車じゃないね……」 
まさしく、その通りです。日本車の感性を基準にメルセデスを計ると、ビックリするぐらい「普通の車」なのです。 
挙句の果てに、 
「何で、これだけとりえの無い車が、こんなに高いんだ!?」 
に、落ち着いてしまいます。 

ストップ・アンド・ゴーが連続する国内の道路事情では、メルセデスより出足の良い国産車が沢山あります。 
最近の衝突安全テストの結果を見ても、安全性でメルセデスより高い評価を得ている国産車も沢山あります。 
シートに座った瞬間に衝撃が走るのはフェラーリだけで、メルセデスには絶対それがありません。目に見える部分の豪華さ、質感は、カローラの方が何倍もあります。 

メルセデスという車は、無骨でとりえの無い、只単なる「普通の車」なのです。 
 


 
国産車からメルセデスに乗り換えたほとんどの人がガッカリします。 
こらえ性のない人は、メルセデスをすぐさま叩き売って、セルシオあたりを購入してしまいます。 
残念な話です。メルセデスは半年間は乗ってみないと、その良さが分からない車なのです。国産車の感性から解脱するまでの辛抱が必要です。 

まず、メルセデスを購入して失望した後に、 
「まぁ、ベンツなんだからいいか……」 
という、開き直りの境地に達する事が大切です。これに到達できるかできないかで、その人の今後のメルセデスの評価が大きく変わってきます。 
実は、その境地に到達し、肩の力が抜けてからが、本当のメルセデス・ライフのスタートなのです。 

一旦、それに気づくと、巷の国産車が普通でない事が分かります。 
普通の車を造る事がどれだけ困難かに気がつきます。 
全ての国産車が、多くの妥協の元に成り立っている車である事にも気がつくはずです。 
そして、何の変哲も無い普通の車が、どれだけ扱いやすいものなのかが理解できるのです。 

メルセデスの価値とは、まさに、そこにあるのです。 
この価値観を知らずに一生を終える車好きの方が、私は気の毒でなりません。その価値観が良いか悪いかはどうでも良い事です。何故なら、メルセデス・ベンツは20世紀をリードし続けてきた、車社会の思想そのものなのですから…… 
 


 
私は、一時期、巷にあふれた、W126というモデルを所有しています。俗名「420SEL」です。全世界の下品なオヤジ達の手によって、所有する事の価値が地に落ちた悲運なモデルです。 

W126は、色気が出て厚化粧された現行のモデルよりも、メルセデスらしいメルセデスなので大好きです。20年以上前の設計の為、クラシックな部分もありますが、電子制御に頼らない、しっかりした機械設計によるコントローラブルさは特筆モノです。 

バブル期に大量に流通している事もあり、かなり安価で、メルセデスの入門車としては絶好のモデルです。高年式のW126は、完成の域に達したある種の芸術品です。この域には、いかなる国産車も今だに到達していません。 

保管スペースさえ許せば、「560SEL」はお勧めのモデルです。先代モデルとはいえ、フラッグシップ・カーですから「メルセデスとはこういう物だ!」というソウル(魂)を、ヒシヒシと痛感できるでしょう。 

タマ数の少ない「420SEL」は、「560SEL」とギア比が一緒でパワーが無い分、非力に感じてしまいます。「420SEL」よりは、ギア比が別設計の「300SE」の方がお勧めです。 

メルセデスは、どのモデルでも妥協された設計はされていませんので、190Eや300Eを選択しても間違いはありません。どのモデルでもメルセデスの品質は同じです。安心して購入してください。 
そして、メルセデスを、もっと多くの方に正しく理解して頂きたいのです。 
そこには、「ステータス」とかいった俗物なモノなど入り込めない、世間様の評判とは全く異なった世界があります。 

それこそが、本当の『メルセデス・ワールド』です。 

あ、そうそう…… くどい様ですが、これだけはご承知おきください。 

「メルセデスを購入すると(最初は絶対に)後悔します……」 
 


 
 
 
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