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変なワイパーの動き方
 
 

 

 

 
 
メルセデスのワイパーは独創的な事でよく知られています。 

ほとんどのモデルは1本ワイパーですが、拭き残し面積を少しでも削減する為に、様々な努力がされています。 
例えば、Eクラスのワイパーは、1本ワイパーの欠点となるウィンドウの端上部の拭き残しを嫌って、伸縮しながら動きます。 

Sクラスはそのウィンドウ面積の広さ(幅)から、1本ワイパーの採用は諦め、2本ワイパーとなっています。 
現行Sクラスのワイパーの動きはよく知りませんが、私の420SELのワイパーの動きもかなり独創的です。 

国産車等に多く採用されているワイパーになじんでいると、かなりの面積を2本のワイパーで2度拭きしていたり、その割に拭き残しができる動きに、最初はビックリしてしまいます。 
しかし、実際に雨の日や雪の日に運転してみると、その動きの理由がよく分かります。 
 


 
420SELのワイパーは、助手席側のかなりの部分を、2本のワイパーで2度拭きしています(左画像@の部分)。 

雨の日に高速走行をした際、ワイパーが空気抵抗で浮いて、ウィンドウをうまく拭けない場面に遭遇された事がありませんか? ウィンドウを上手く拭けない部分は、大抵ワイパーが寝ている状態の部分になりがちです。それを防ぐ為に、ワイパーにウィングを付けたりする方法もありますが、420SELにはついていません。 
つまり、高速走行する際に、ワイパーが上手く拭けなくなる可能性のある部分については、2本のワイパーで2回拭いているのです。 

もちろん、日本の交通法規内で走行を行う場合は、よほどの強い向風でない限り、ワイパーが浮いてしまう状態にはなり難い様ですが……
 


 
このワイパーの動きで最も重要なポイントが、運転席側の拭き方です。 

一見、拭き残しが多い様に見えますが、実は必要にして十分な視界が確保されています。 
ワイパーの拭き残しについては、ビートのページで述べましたが、その憂鬱さを全く感じません。 

理由は、左画像Aの部分です。面積は少ないながらもAピラーギリギリまで拭いている事が分かります。このAの部分が見える事による効果は、かなりの安心につながります。
 


 
もう一つのポイントは、上画像Bの部分です。何もこんな所に大きな拭き残しを作らなくてもと思うのですが、このスペースはミゾレ混じる雪の日等に多大な効果を発揮します。 

本来、ドライーバーの視点から見るとこの部分は大半がボンネットになります。つまり、拭いても拭かなくても良い部分です。 

雪の日に、ワイパーが拭いた端へ雪が凍り付いて、どんどん蓄積されていくのを経験された事がある人は多いと思います。 

メルセデスは雨の日等にワイパーの拭いた水滴がサイドウィンドウを濡らさない様に、Aピラーに大きく切り欠き(? 左画像C)が入っています。通常のワイパーの動きでAピラーのギリギリまで拭くと、凍り付いた雪の逃げ場が無くなってしまいます。 

420SELのワイパーは、この部分に凍り付いた雪を落としていきます。落とされた雪は、フロントウィンドウに吹き付けられた熱で溶かされます。 
 


 
オマケでもう一つ。 
ワイパーの話ではありませんが、ウィンドウォッシャーの話です。 

冬の寒い夜に、屋根の無い場所へ車を駐車していると、ウィンドウに霜がつきます。 

普通ですと、走り出す前に、寒い中霜を落としたり、エンジンをかけて水温が上がるのを待って熱風でとかしたりする必要があります。 

メルセデスはそんな場合、ウィンドウォッシャーを使えばすぐに霜がとれます。何故なら、メルセデスのウォッシャーは加熱されてから出るからです。 
もちろん加熱は電気で行われていますので、水温計が上がるのを待つ必要はありません。 
大変、便利です。 
 


 
 
 
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